1998夏 ナチュラルスクール 〜立山黒部アルペンルート・上高地〜
日 程 1998年8月17日(月)〜19日(水)2泊3日  
宿泊先 国立立山少年自然の家
主 催 あくてぃぶ群団  
協 賛 文京ボランティアの会  
協 力 文京区社会福祉協議会・文社協ボランティアセンター
1日目
東京→上高地
 6時45分に文京区役所裏口を出発。東京の天気は晴れていてとても蒸し暑いのですが、現地立山に電話をしたところ、富山県に大雨注意報がでるほど悪天候のようなので、1日目と3日目のコースを入れかえて上高地へと向かいました。途中バスの中ではビンゴゲーム、カラオケをして楽しみました。ところが、山歩きの準備万端をしてきたなっちゃんは、慣れない登山靴をしっかり履いていたせいか、バスの中ですでに足の痛みを訴えていました。バスに乗る前から体調が悪い人がいたものの、とても丁寧な運転でしたので、レクを楽しんでいるうちに上高地に着きました。
上高地散策
 お盆あけ直後で混雑が予想されましたが、やっぱり地震の影響によりバスが少なかったことで、スムーズに駐車場に入れ、11時45分に到着。昨年末のスキー講習会に参加した看護婦の村井さんと上高地で合流することになっていましたが、1時間半も待たせてしまいました。小雨がぱらぱら降っているものの、散策にはあまり影響はないようなので、河童橋を渡った先の河原で昼食をとりました。残念ながら大雨の影響で梓川は濁っていましたが、カモたちが近づいてきて急かされました。一時雨が強く降り、引き返して温泉にでも行こうかという案もでましたが、せっかくの機会なので明神橋まで行くことになりました。歩道は整備されているものの、まわりは自然のままで残されていました。途中には丸太の橋もあり、増水の影響で半分近く浸かってしまっており、おっかなびっくり渡るところもありました。すれちがうハイカーの方とはあいさつをかわしたり、声援をかけてもらいました。当初の予定では14時に出発でしたが、のんびりと神秘的な世界に浸かりながら歩いていたせいか、駐車場に戻ったのは15時30分でした。
立山少年自然の家
 立山地方各地で土砂崩れが発生しており、有峰湖を通って立山町へと抜ける林道は通行止めとなっていたため、かなり北上してから南下するという遠回りのコースとなり、少年の家に到着したのは18時でした。ここの施設は大変広く、建物も迷路のように散らばっているほどです。部屋は28畳というとても大きな部屋で、荷物置いてから食堂へと向かいました。食事はセルフサービスのバイキング方式でしたので、みんな欲張ってたくさん食べてしまいました。
花笠音頭
 入浴後はレクホールに集まり日記を書きました。朝早くからバスに乗っている時間が長かったのでみんな疲れてしまったようでした。でも、花笠音頭が流れるとみんなニコニコしながら、新聞紙を振って楽しみました。大きなかけ声をあげていたせいか、他の団体の人たちもちょこちょこ覗きに来ていました。少し休憩してからは、翌日の天体観察に備えてのミーティングとなり、谷田貝先生がプリントを用意して丁寧に解説をして下さいました。夏の大三角、さそり座・・・いろいろありましたが、何か覚えましたか。翌日天気が回復することを願って、消灯したのは22時でした。
2日目
ブーメラン作り
 朝食後、レクホールに集まり、牛乳パックを利用してブーメラン作りに挑戦しました。「三ツ矢」型に作ってみたものの、抵抗をつけるために形を整えるのが難しくなかなか上手く飛びませんでした。いろいろいじっているうちに、クルクルと回転するのも出来あがり、試行錯誤しました。
ネイチャーゲーム
 夜中に一時雨が降ったようですが雨は止んでいたので、外へ出ることにしました。とにかく、敷地が広く、初心者用のスキーのゲレンデ・リフトまでが設備されているほどです。スキー場の脇を通って、キャンプファイヤーをする広場に集まり、3人1組のチームを作ってゲームをすることになりました。あらかじめ用意したツバキ、オオバコ、ヒルガオ・・・・など、木や草の葉10枚と同じものを各チームごとに森の中に入って探してくるというゲームでした。まさに自然中なので、似たような葉っぱがたくさんあり、同じものを探すのにはどのチームも何度もサンプルと照らし合わせるために、行ったり来たりと走り回りました。やっぱり10枚同じものを見つけるのは難しかったようで、それぞれのチームは、9枚、8枚、7枚の一致で終わりました。
線香花火作り
 昼食後は野外活動の拠点となる不動棟へ移動しました。ここも大きな建物で、2階は50畳ほどもありました。今度は線香花火作りに挑戦です。まずはじめに、火薬を巻くために細長く切った和紙にマジックを使って模様を書きました。みんなとても丁寧でびっくりしました。中でも諸富君のものは抜群でした。和紙を半分に折ったところに火薬を少しのせて、クルクルと巻いてこよりにしていくのですが、ちょっと難しかったようです。へなへなになってしまいましたが、自分で作った自分だけのオリジナルの線香花火なので、夜の花火が待ち遠しくなりました。
うどん作り
 今晩の夕食は自分たちで作ることになっていました。メニューは「カレーうどん」ですが、その「うどん」も手作りです。誰もが初めてというこのうどん作りに不安がありましたが、生きるためのエネルギーを獲得するためには何としてでも作らねばなりませんでした。作り方のマニュアルを見ながら、まずは粉を水に溶き始めました。水の分量がつかめませんでしたが、交代でみんなが挑戦してみました。ここでは小嶋君と三原君が大健闘しており、小麦粉3袋分の下地が出来ました。とりあえず、しばらく寝かせることにして、カレー作りの準備へと移りました。
野外炊飯
 不動棟の近くに立派な野外炊飯棟がありました。そこに隣接している人工河原にかまどを用意して火をつけました。薪は注文すれば用意してもらえるのですが、1束400円もして10束程度必要とのことでしたので、森の中から枯れ落ちた枝を拾い集めて燃料としました。みんながそれぞれ分担してテキパキと準備が整いましたが、食材は24人分もあり、これを1つの鍋で作ってしまおうということでしたので、炒めたりする下ごしらえが大変でした。一方、休ませていたうどんを切るために、2つのグループに分かれローテーションして作業しました。うどんの方は、水分が多かったせいか、ベトベトしてしまっていましたが、それでも構わず必死に広げて切りました。けれどもやはり、切った後にくっつき大きな固まりになってしまいました。カレーは何とか1つの鍋におさまったのですが、ルーを入れてしばらくすると、ぼこぼこと火山活動でも起こっているかのように、鍋全体が煮えくり返ってきました。味はともかく果たして食べられるのだろうかと心配していましたが、「おいしい、おいしい」とみんなニコニコしてたくさん食べていました。今回のカレーうどんは、お母さんにねだっても、ほかのどこへ行っても味わえない特別なものですので、きっと忘れることが出来ないでしょう。晴れ間も覗く自然の中で、まさに手作りの夕食を存分に楽しむことが出来ました。後片づけの際には、藤井君が日頃から鍛えている腕を生かして、3つの大きな鍋をピカピカに洗い上げてくれました。
夜空の観察
 早めに入浴をすませて19時半に正面入口に集まりました。夜空を案内して下さったのは若くてにこにこと楽しませて下さる田中先生でした。しかし、雲がみっちりと空を覆ってしまっており、星1つ見られませんでした。とりあえず、立山ドームと称する天体観察棟へと移動し、1階でスライドを使って月や土星などのすばらしい映像を披露していただきました。その後、2階へあがり反射鏡が60cmという大変立派な望遠鏡を紹介してもらいました。ここで、なんとちょっぴり晴れ間が覗き、星がぽつんぽつんと見え始めました。ところが、コンピューター制御のこの望遠鏡はすねてしまっており働きませんでしたので、外へ出て大型の15cm双眼鏡で星を見ることになりました。次第にどんどん雲が消えていき、すっかり星空へと変わり、すばらしい夜空を見ることが出来ました。田中先生はみんなの的をはずれたびっくりされるような質問や返事にも懲りず、いろいろなことをご丁寧に教えて下さり、どうもありがとうございました。
花火
 21時になってしまいましたが、お楽しみの花火をすることになりました。手持ちの花火ばかりですがいろいろな種類のものが400本もあり、みんな煙の中での奮闘となりました。何といっても最大の楽しみは手作り線香花火の成果です。紙縒りに巻くのが弱かったものは炎が出てしまいましたが、それでも松が散って、玉が残ってチリチリと花が咲き、自分で作ったものでこんなにもきれいに楽しめるなんていうことは、とても不思議な魅力のある魔法のようでした。
3日目
6時起床
 寝たのは22時でしたが、みんな6時には起きて、布団をたたみ、荷物の整理をしました。6時半に山の様子を確認したところ、天候は曇り、風が強く、気温13度ということでしたので、アルペンルートの途中の室堂から立山の主峰である雄山を目指すコースをとることにしました。朝早く起きて張り切っていた中には、「登山」をするということではなく、「今日は東京に帰れるぞ」という思いこみのようでした。
一ノ越へ向けて出発
 8時に立山駅からケーブル・高原バスを利用し室堂(2450m)まで行きました。霧がたちこめており視界が悪い上、風が強く登山には条件がよくありませんでしたが、9時20分にとりあえず18名全員で一ノ越をめざしました。ところが、河村さん、東雲さんの2人はうつむいた状態で、どうにかしてこれから始まる試練を回避したいという様子を伺わせていました。しかし残念ながら期待には応えてもらえず、遅れながらもてくてくと歩く羽目となりました。登山道と散策コースの分岐点まで来たところで、池巡りをして引き返すことも考えましたが、別の登山者によると2700m地点の一ノ越まで40分ということでしたので、登山道の方へと向かいました。最初、塩澤君は後発組に混じっていましたが、途中から勢いを出して先発組へと追いつきました。先発組では10時15分に一ノ越にある山小屋に着きました。
雄山登頂
 一ノ越ではさらに風が強く視界が数メートル程度、小雨混じりの天候でしたが、先発組はここからさらに雄山へと向かいました。一ノ越までは登山道が整備されていたものの、ここからは岩に記された矢印を頼りにゴロゴロとした岩場を登ることになりました。足場が悪いため途中で、吉田・軍司・小嶋・塩澤の4名が下山したものの、残り太田・御給・藤井・三原・諸富・明石の6名は3003メートルの立山の主峰を目指しました。風の強さは岩にしがみつかないと飛ばされそうになるほどで、冷たい風と霧に体温を奪われ手がかじかんでしまいました。濃霧のため頂上が見えず不安でしたが、頂上が目前に現れたときはほっとしました。一ノ越に帰り着いたときには足はがくがくでした。天候が悪かったため多少時間が多くかかりましたが、13時40分に全員無事室堂に戻りました。それぞれが一生懸命頑張り、忘れられない登山の思い出が出来ました。それにしても、めちゃくちゃ寒かったですね。
黒部ダム
 村井さんとは室堂で別れ、その後、ロープーウェイ・ケーブルカーを乗り継いで黒部ダムへと抜けました。黒部ダムは大きかった!毎秒15トンという雄大な放水のさまには荘厳ささえ感じたほどです。7年という長い歳月と人命をかけて建設されたダムに刻まれた歴史が、放水と共に見る人の心に押し寄せて来るからでしょう。
笑顔で解散
 扇沢からは富山側から回送されたバスに乗り帰途につきましたが、中央道が30キロの渋滞で到着したのは21時30分でした。しかし、みな疲れた様子もなく、この3日間とても楽しかったという笑顔いっぱいでした。事故怪我なく、互いに楽しみ、北アルプスの大自然を満喫することが出来ました。